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マンガ家の資産運用

自費出版のオリジナルWEB漫画で売上1000万円を達成した6つの方法

この記事は2018年6月にFANBOXで限定公開した記事のリメイク版です。

こんにちは、マンガ家の友吉(@tomokity)です。

そもそも友吉って誰だ?」という人も多いと思いますので、今回は自己紹介も踏まえて、『変態エルフと真面目オーク』シリーズで僕が実際に行った「生存戦略」をご紹介したいと思います。

オリジナル漫画『変態エルフと真面目オーク』シリーズはもともと商業作品ではなく、個人的なWEB漫画として始まりました。
その漫画を約一年かけて160ページ分描きあげることで、最終的には約1000万円の利益を生みました。

そこに至るまで、僕が何をし、何が起きていったのか、具体的な数字も赤裸々に公表しつつ、この記事にまとめたいと思います。
「マンガ家の生存戦略」を考える際の参考に少しでもなれば幸いです。

友吉というマンガ家についてのおさらい

『変態エルフと真面目オーク』の話をする前に、改めて僕自身の自己紹介をさせてください。

同人活動自体は2003年頃に始め、2007年に商業誌デビューしました。
マンガ描き歴は16年マンガ家歴は12年ということになります。
これまでに出した同人誌の累計発行部数は約35万部で、商業コミックの累計発行部数は約10万部です。

ちなみに、過去の同人活動はTYPE-MOON、東方、艦これなど、公式が同人活動を許可してくださっているジャンルがメインで、現在はオリジナルジャンルのみで活動しています。

以上を踏まえた上で、2017年から2018年頃にかけて、オリジナルWEB漫画『変態エルフと真面目オーク』で僕が実践した「生存戦略」を解説していきたいと思います。

『変態エルフ』シリーズで実践したこと

実践1:いろんな漫画投稿サイトに投稿しまくる

まずは漫画をTwitterだけでなく、思いつく限りの大手漫画投稿サイトに投稿しました。
実際に投稿したのは、Pixivニコニコ静画LINEマンガインディーズジャンプルーキーあしたのヤングジャンプマンガボックスインディーズです。

2017年当時はなかったかもしれませんが、今ならKindleインディーズにも投稿すると思いますし、SNSもTwitterだけじゃなくInstagramも活用していると思います。

それぞれのサイトで大きな反響をいただき、特にLINEマンガインディーズではランキング1位になることも多く、最も多くの方に読んでいただけました。
2017年1月~12月までの閲覧数の累計を具体的に羅列しますと、

LINEマンガ:約1100万PV
Pixiv:約860万PV
ニコニコ静画:約700万PV
Twitter(エンゲージ):約650万(インプレッションは約2700万)
マンガボックス:約72万PV
あしたのヤングジャンプ:約20万PV
ジャンプルーキー:約9万PV

といった感じで、本当に多くの方に読んでいただきました。

それぞれ読者層が違うので、色んな読者層の方に漫画を読んでいただくためには、色んな漫画投稿サイトに投稿すべきだという単純な考えでした。
実際に、色んな層の方に漫画を読んでいただくことができたと実感しています。

普段は20~30代の男性向けに漫画を描いていたので、主婦層や女子中学生の方からたくさんの感想をいただいた体験は今回が初めてでした。

実践2:1シリーズあたりの投稿感覚はできるだけ短く

1シリーズあたりの投稿感覚はできるだけ短くしました。
1シリーズ分のネームができたら、それを2日に1Pのペースでアップしていくことが多かったです。
投稿の感覚が短いほうが、その話数が終わるまで忘れずに読み続けてもらえる可能性が高いと思ったからです。
週に1回投稿するよりは、2日に1回投稿するほうが覚えてもらいやすいはず、という単純な考えです。

もちろん、ずっと2日の1回のペースで投稿し続けることができれば理想ですが、僕にはそれができなかったので、シリーズごとの期間が多少あいてしまっても、1シリーズ分の投稿感覚は短くすることを心掛けました。

実践3:Twitterに投稿した漫画を何度もRTする

Twitterに漫画を投稿しても、「そのタイミングでTwitterを見ていたフォロワーさん」にしかその漫画は届きません。
どうせなら、フォロワーさん全員に漫画を読んでいただきたいので、時間や曜日を変えて、一度投稿した漫画を何度もRTしました。
それをウザいと思うフォロワーさんもいるかもしれませんが、できるだけたくさんのフォロワーさんに読んでもらいたいという気持ちを優先しました。

ちなみに、1話目1P目のTwitterでの投稿は最終的に7500RTくらいまで伸び、それ以降の投稿は右肩下がりでRT数が減っていきましたが、2017年の一年間『変態エルフと真面目オーク』を投稿し続けた結果、フォロワー数は20000人から40000人に増えました。一年で約20000人の増加です。

2017年当時は今ほど「創作漫画」をTwitterに投稿する人は多くなかったです。

実践4:WEB漫画版の読者の方に同人誌版にも興味を持ってもらう

同人誌をたくさんの人に買って読んでもらうには、WEB漫画版を読んだ人に同人誌版の存在を知ってもらい、「同人誌も読みたい」と思ってもらえるような仕組みを作る必要があると考えました。
なので、WEB漫画シリーズの最後には毎回漫画の下に同人誌の告知を載せたり、同人誌だけでしか読めない書き下ろしシリーズ(エルフの里長様編)も用意することにしました。

また、WEB漫画シリーズ本編と、同人誌のみの書き下ろし番外編に少し繋がりを持たせることで、書き下ろし番外編の内容にも興味が沸くように意識しました。

ちなみに、同人誌の表紙では「表紙自体が目立つこと」「タイトルも目立つこと」「タイトルとキャラを見てどういう漫画か想像できること」を意識しました。

実践5:とにかく「読みやすくてわかりやすい漫画」を描く

そもそも漫画は「読みやすくてわかりやすいこと」が大事だと思いました。
だから、内容をわかりやすくするために、主役となるキャラクター2人のかけあいがメインのコメディ漫画を作りました。

タイトルも、読んだだけでどういう漫画なのかがわかるようなタイトルを付けました。
また、1本1本の漫画で、読んだ方にどういった感想を持ってもらいたいかも意識して描きました。
あとはただひたすら、どうすればより多くの読者の方に楽しんでいただけるかを考えて描きました。

実践6:売れっ子マンガ家さんにアドバイスをもらう

知り合いの売れっ子漫画家さんに漫画のネームを見てもらい、アドバイスをいただいたりもしました。
自分よりたくさんの読者の方を楽しませることができる漫画家さんにアドバイスをもらえれば、自分の漫画も少しでも多くの読者の方に楽しんでもらえるようになるはずだ、という単純な考えです。

もし僕の知り合いにそういう人がいなかった場合は、プロの編集者さんから必ずコメントがもらえるDAYSNEO」や「マガジンデビュー」などの漫画投稿サイトに投稿して、アドバイスをいただいていたと思います。

実践した結果、起こったこと

同人誌が売れた

結果、オリジナル漫画『変態エルフと真面目オーク』シリーズの同人誌第1巻は約7000部売れました。
電子書籍版は出していなかったので、紙の同人誌だけの部数です。
このシリーズは全4巻出ていて、1~4巻の売り上げ部数を全て合計すると約20000部になります。

さらに具体的に言うと、第1巻の売上7000部の内訳は、「同人即売会2000部、とらのあな2500部、メロンブックス2500部」といった感じで、巻数が進むごとに全体の部数は下がってきますが、2~4巻も内訳の比率はほぼ同じです。
オリジナル漫画の同人誌としては、おそらくそれなりの数字だと思います。
印刷費を差し引いた1冊あたりの利益は約400円なので、この時点で800万円の売上ということになります。

その後さらに、5巻目となる「番外編」と、同人誌をすべてまとめた「総集編」も発行しました。
それらの売り上げも足して、ついに『変態エルフと真面目オーク』シリーズの売り上げは1000万円を超えました

くどいようですが、ちゃんと確定申告をし、税金は払っています。

商業コミックとして単行本化された

同人誌だけではなく、『変態エルフと真面目オーク』シリーズは一迅社様に単行本化もしていただけました。

単行本化の企画は直接出版社にメールで問い合わせて、自分から持ちかけました。
その際、同人誌の売上数や、WEB漫画版の各サイトでの閲覧数も具体的に伝えました。
その具体的な数字が良い判断材料になったようで、出版社に企画を提案してから一週間ほどで単行本化が決まりました。

もちろん、その際に上層部にかけあってくださった担当編集者様の働きがあってことだと思ってます。この場を借りて、改めてお礼申し上げます。ありがとうございました!

また、その単行本も1巻完結の漫画であったにもかかわらず、ありがたいことに2度の重版がかかり(2019年現在)、僕が発行した商業コミックの中で一番売れた作品になりました。

2017年当時は今ほど「WEBマンガの単行本化」自体も多くはありませんでした。

成人向けゲームが発売された

さらに、スピンオフ作品として『変態エルフ姉妹と真面目オーク』というタイトルの成人向けゲームも発売されました。

成人向けゲームということなので詳細はここでは語りませんが、ここまでたくさんの人に楽しんでもらえる作品に発展したことは、心から嬉しいです。
(ゲームが気になる方は検索してみてください。)

まとめ

というわけで、他にも細かいことは色々とやっていたのですが、以上が『変態エルフと真面目オーク』シリーズで僕が実際に行った「生存戦略」と「その結果」になります。

もちろん、決して「この通りにやれば同じ結果が得られる」と言うつもりはありません。
あくまで一つの実例として、少しでも何らかの参考になれば幸いです。

もしまだ『変態エルフと真面目オーク』を読んだことがない方は、是非この機会に単行本を買っていただければ嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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